英文を読む時に、ある程度「これから読む文章はこんな内容が書かれているはず」といった心構えがないと、とんでもない勘違いをしてしまうことがあります。逆に、背景知識があれば、多少わからない単語に遭遇しても、持っている知識や経験をもとに推測しながら読み飛ばしができて、だいたい内容を理解できることがあります。
唐突ですが次の文章を読んでみて下さい。ある飲み物についての記述です。さて、文頭のthisは何の飲み物か、推測してみてください。
This is tightly knit and racy, with a spicy underpinning and a clear-cut mix of poached pear, grated ginger and pink grapefruit zest. An aperitif style, showing a crispy, lacy finish. Drink now.
いかがですか?
答えはシャンパン (champagne) です。
*英文はwine.com のWine Spectatorより引用
最初の文章で主語Thisを形容しているのが tightly knitとracy、さらにwithを伴って「スパイシーさを軸に、ポシェ梨、おろし生姜、ピンクグレープフルーツの風味がはっきりと感じられる」と続きます。それから「食前酒にぴったり。キリッとして喉越しの素晴らしい後味。今が飲み頃。」と描写されています。明快なヒントはaperitifでしょうか。ワインの言葉は解釈が難しいので、見慣れた単語でも意味がわかりにくいところもあるかもしれません。これについては次回のブログでじっくりお伝えすることにしますのでお楽しみに。
ここで皆さんに実感して頂きたかったのは、文章を読む時、これから何について読むのかといった背景情報や中身についての知識がない場合には「読み解く」域に入るには時間がかかるということです。母国語で文章を読むときでさえ(例えば小説の読み始めなど)そうですよね。これが英文になるともっと負荷がかかります。逆に考えると、英文読解力を身につけるには、自分の関心がある分野の英文を大量に読むことが早道なのです。読み書き作業は相当の体力と集中力を要しますので、学習のモチベーションを保つためにも英文選びは大切です。専門用語も、何度も出会えば自然に身について行きます。市販の「ビジネス単語集」を完読するより、地道に文章に触れましょう!最初は読みにくかった内容も、量をこなすことで読みやすくなり、結果読むスピードもグンと上がります。一番手っ取り早いのは、新聞です。自分の仕事や趣味に関連する英文記事だけでも継続して読み続けると、読み飛ばしができるようになります。どの記事を選ぶかは、見出し (headline) にざっと目を通せばわかるはず。是非お試しくださいね。
私はただのワイン好きで専門家ではありませんが、ワインの味わいを表現する英語に興味を持っていますので、前述の英文をパッと見た瞬間、「これはワイン(シャンパンは発泡ワイン)についての記述」と認識できます。ワインに関心がある方はすぐにピンと来たはず。ワインの味わいを紹介するコメント(英語でtasting notesと言います)で、ワイン専門家が消費者に向けて書くレビューです。tasting notesは海外のワインの専門誌やウェブサイトで見ることができますが、日本のワイン通販でも日本語版のtasting notesを宣伝ツールに使っているのを見かけます。tasting notesに含むべき情報は、ワインの外観、香り、味、飲み頃のタイミング、ワインに合う食事の提案(白身魚に合う、など)などで世界共通と言えるでしょう。ワインにどういう特長があるのか、買う価値があるのかの判断材料を提供してくれます。当然ながら「美味しいからオススメ♬」だけではダメなんです。
ちなみに、今回紹介したシャンパンの銘柄は、鮮やかな黄色が印象的なヴーヴ・クリコ (Veuve Clicquot) イエローラベル です。日本でもよく流通しているので、価格は場所によってかなり流動的ですが、少なくとも5000円はする高級シャンパンです。日本ではルイ・ヴィトン・ジャパン社が輸入販売をしているので、ブランドイメージもあって若い女性に人気があリますが、女性人気をさらに後押しする理由があります。それはシャンパンの名前である「クリコ未亡人」。この続きはまた次回!
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